向上の歓び/
吉岡孝次
そっくりそのまま書くことを覚えれば
きっと
今の境遇を甘ったるく 写せるだろう
一枚のレコードが教えてくれる新しい名前
短い髪の女の子を好きだったこと
はるか彼方に望んでいたはずの人生を振り返って
余裕とは違う安らぎの
一人きりの団らんが あること
彼女のくれた重いペン
やわらかな吐息の命日
見えるというより感じている 僕は
なんだかこのままでいい
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