冷たい雪の降る夜に/千波 一也
 
冷たい雪の降る夜に

わたしのからだは凍えてゆくから
わたしのからだは
小さくなる

わたしはわたしを抱き締める



冷たい雪の降る夜に

わたしのことを
わたしのほかに
包んでくれた誰かのことが懐かしい


あたたかさには
種類など無いのかもしれない

それほどまでに
わたしは小さく
わたしはよわく
仕方のない命であるのかもしれない



冷たい雪の降る夜に

凍りつくわけでもなく
果てゆくわけでもなく

わたしのなかに
確かに宿るあたたかさを
わたしは
見つける

わたしをここに
成り立たせている
かけがえのない守りを
そっと
知る


戻る   Point(18)