彼は名前も知らぬ星/秋月 笑
薄暗い家路をたどるわたしを
朱から群青へのグラデーションの天井が
しずかにつつみこんでいる 夕方
太陽が海のむこうへしずんでゆくときに
いつも西の空にひかっている
砂糖つぶのような ちいさな星
今日もいろいろあったね と
ウインクしている ちいさな星
なぜだか 彼が
明るい真昼の空から姿をあらわす時には
不安のないように ずっと
みまもっていてあげたいと思うのです
名前もしらない星なのに
グラデーションの天井を背に
そっと家までついてくる ちいさな星
家族のように 連れて帰ることができるなら
どんなに 彼は・・・
どんなに 彼はよろこぶだろうか
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