五月に入ると/
よねたみつひろ
五月に入ると
死んだ詩人のことを思いだす
いつもへんに悪ぶっていたな
「ユリシーズはどこにもいないね」
そう言って
はなやかに降りだした雨の街路に
出て行ったきり
忘れたのか 置いていったのか
このパラソルは
ぼくがもらっておくよ
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