赤へのこだわり/つぐこ
あたしは、赤い口紅を塗りたくって
大人になった気分に浸っている小さな子供と同じだ。
何も言わないで
欲しいものを指差して
これが欲しいの?と聞かれると
頷くだけの、無愛想な子供
口紅を濃く塗りすぎた唇を
動かす事はあまりない
自分は大人よ、と言わないけど
その代わり
口紅をさらに濃く唇に塗る
力を入れて塗ってしまうから
酷い時では顎の方まで塗ってしまったり
口紅が折れたりしてしまう
あたしが使っている真っ赤な口紅
それは、血の色にも似ていて
時々、美しいと思う反面
恐ろしいと思ってしまう
それでも、あたしは塗り続けていた
ダサいと今になっ
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