きゅうりの恋/ZUZU
今日もきゅうりは
もてなかった
女のこたちの気ままな指で
もがれてみると
ぽきんと折れた切り口には
みずみずしい
ひかりがあふれていた
うちに帰ってきて
冷たい水で
顔をごしごしとあらうと
いろんなことばの
かたい結び目が
手のひらをひっかいて
心地よい傷がいっぱい
なにを着ればいいのかわからなかった
なにをしゃべればいいのかわからなかった
どこで笑えばいいのかわからなかった
どこで泣けばいいのかはちゃんとわかった
でも泣かなかった
今日もきゅうりは
もてなかった
時間だけがしろい塩のように
うんと残された
もう来ない季節を待つのはやめて
おいしい
つけものになることにした
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