みどりに みどりに/木立 悟
 




はいいろ
ぎんいろ
雲の上に
雲がのるいろ
錆びた欄干がぱらぱらと曲がり
きんいろとむらさきいろを抱き寄せて
ゆくあてのない歩みを照らしている


置き去りにされた水から立ちのぼる
いろを持たない思い出や
誰にも尋ねることのできない音が
待つもののない顔をして
森の向こうを見つめている


棄てられたみどりは野に沈み
ふたたび花に生まれる日まで
静かな水草の時をすごす
滴を滴のままつまむしぐさを
水の底にくりかえす


ひとときの細いひらめきから
手のひらの傷から川は生まれ
幾つかの標を流し去り
大きく離れた両岸の火を
海の裾ま
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