明け方に歩く駅までの道/むらさき
 
一晩中浴びた
ビートでバラバラになっちゃった
からだの破片を
いつもの鞄に押し詰めて
歩く四条通りは
ビニール袋が散乱していて
海かと思った

始発が出る時間だけど
まだ今日が来ていないみたいに
自己主張の強い月が
白い光り方をする

その照らし方が
とっても優しくて
あたしは最高の男に
抱かれた気持ちがしたよ

こんな始まり方をした
日曜日はきっと幸せに違いない
と思った瞬間鼻をついで出たのは
ドビュッシーの月の光

ヒールの音だけが鳴り響く
この道を
あたしは背筋伸ばして
できるだけきれいに歩いてみせる

スーパーモデルになったつもりで
オートクチュール着てるみたいに

商店街がまるでランウェイ
誰も見てないけれども
あたしはご機嫌で

明るいはずの
東に向かう







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