冬物語/落合朱美
 
た動物を
 あっという間に掴めで
 2人でニタニタ笑いながら喰ってしまうんだと

子供たちは震えながら
ますます肩を寄せ合っている

 んだから山の動物たちは皆
 冬は穴ん中さ入って春まで眠るのサ
 雪に埋もれた穴の中はあったけくてナァ
 子熊は母熊の懐に抱かれて
 幸せな春の夢を見てるんダァ
 柔らけえ木の芽っこ食べたり
 紋白蝶と戯れる夢ば見てるんだべナァ

子供たちは寒さの中で
瞳を輝かせて聴き入っている

厳しい冬も永遠ではなく
やがてこの村にも春が訪れる

春は唯一の優しい季節で
どんな者にも平等に
暖かな陽射しを分け与えるだろう


蝋燭の仄かな灯火を
いつまでも消したくないと思う
夜がある





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