ホットドリンクを買いにゆく。/千月 話子
ス良く揃えて
軽く空へ(地へ)ジャンプした 私の体は
程よく 上気して行くのです。
静電気が怖い、怖い、私の手の平から
湿度を奪った自販機の下 十センチ程の世界では
白い糸を巻き付けられた百円硬貨が
欲深い夜の盗賊の心を捕まえて行きます。
知らないお金でコーヒー買った
ヤケドする 舌
罪 ひとつ
朝明けを知らせる 小鳥鳴く窓辺の机に
ジャスミンティーの空(から)を置く
今日の硬貨を入れて。 明日の硬貨を入れて。
いつか 失くしたものが
返ってきますように と。
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