結晶核のゆくえ/
たりぽん(大理 奔)
つかみどころのない
明るかったり暗かったりする
不健康な夕空に
てのひらを突き上げてみるのです
とどかないのは
手のかたちなのではないのかと
いくつかの記憶を重ねてみても
やはり手のかたちなのです
どうしてなのでしょう
私たちにかたちがあるのは
氷の結晶に似て
純粋でない核を持つからなのでしょうか
いつかこのかたちを脱ぎ捨てて
区別のつかない何かに
夕凪や朝露に含まれるような
何かに
なってしまいたいのです
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