Far song/大村 浩一
 

呼ぶ声は誰のために
呼ぶ声は誰のために
遠くから来た人は家を建てた
終(ついえ)の住み処に
なるとは知らずに


往く人は誰のために
往く人は誰のために
墓碑に添えられたコップ
身体を無くした人の乾きを
うるおせたらと願って


うたうたいは誰のために
うたうたいは誰のために
紡いだ糸はほどけ
きみはむしろ晴れやかに
遠くを見ている


接続を拒んだ
ひとりきりの銀盤の上で
きみの無窮のうたは
続いている


2005/11/18 改稿
大村浩一

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