「石榴」/shu
闇の中で息を潜めていた種子たちは今
ざっくりとメスを入れられた裂け目から
差し込む光に晒され
処女膜のような薄さで
その突き破られる一線の痛みを待ち望み
震えて耐えている
数々の果たされなかった時間を
真一文字に結ばれた決意と激しさで
螺子のように硬く締め込み
内包し堰きとめていた
あなたは今
自らが熟するために
新しいひかりと大気を受け入れるために
自らを開こうとしている
まぶしければ
目を閉じてもかまわない
大きくからだを開いて
突き破られる痛みと
赤い血と
めまいに
耐えて
弾けて
飛べ
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