坂の、その先の雲の落としている影/霜天
ぐるり、と
回ってみて気付いている
下敷きにされた世界は、ほんの少し暗くて
それでも透明、に何処かへ繋がろうとしている
きみは
あの頃の夢の続きを見た後で
ぱあん
と、弾けてしまって
それを僕は拾い集める
どんな夢、だったのかなんて
きみはどこまで行っても、零しそうにない
ひとつ、ふたつと数えるくらい
ソファの上で眠った後で目をこすると
きみは随分、きみらしくなっている
あの坂の先に雲が来て、僕らはその下にいる
ほんの少し暗くて、弾ける音が響く場所
手書きのメールが届く
夢の続きが見たいという
差出人は空白で
まだ何処にも、送れないでいる
坂の先、海岸線まで
そこはまだ、下敷きにされている
ほんの少しだけ、暗い世界は
透明な指で何かを求めて
探す
探す間に
きみはゆっくりと、目を閉じると
ぱあん
と、そんな音を残して
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