タレー 6/狸亭
雨季のタレーがなみだつ。かなしみをたたえて、
すぎさってゆく時間をつらぬいて、
浮世のゆれつづける、虚実のいろがみえる。
とおい、タレーのかなたの国へ、ぼくはかえる。
すぐそこにきている死のようにかくじつに、
だいすきなきみの表情もあやしい笑顔に
かわるだろう。だからはやくきてほしい。
北から南へまっすぐに舞いおりてほしい。
わかれるために会うのだから、そのつもりで。
一年という時のおもみは、このタレーに
二五三七年の底ふかくしずんでしまうというのに。
ことばのつうじないおとことおんながいっときの利害で、
おたがいのもちものを交換しただけなのに、
雨季のタレーははげしくゆれて、きみのむねに、ぼくのむねに。
(押韻定型詩の試み 38)
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