ブラックボックス/たもつ
 


たった一つの君は
風のように吹いているが
たとえば
コートのフードを躍らせたり
トマトの表面にとどまる水滴に光を与えるとき
微かな掌の温もりに似た質感を残していくのだ
そう 僕らはかつて原始の海で愛を語らいもした
今はただ
君に相応しい鉛筆を削ろうと思う



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