ゆく/捨て彦
 

原型を留めずなおも崩れ行く四季の巡りてまた一巡する


六歳の少女の頃の思い出の中に転がる私の靴下


ビー玉の裏の光りに舌をあて花火が上がったことにも気づかず


鳥を追う指先いつか田園の陽炎とともにやがて色づき


私たちはきっと何にもなかったただ事もなげに居合わしただけ


挨拶の目線が今も焼きついて放課後にまだ未練が残る


風に舞いあそこの角に消えていくことが嫌いでまた遠回りして



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