夜のたより/木立 悟
 




ひそかに星の綿くずは
空のすみに集まってきて
夜の終わりもはじまりも
一緒のようにまたたいている


かじかんだ手と手を重ね
鳥を光にほどく息
どこまでも白く
どこまでも高くはばたいて
手と手から手と手から生まれつづける


闇にかがやく文字の消息
ぽつりかわいて明るいひとり
傘を握る手だけが映る
とおり雨にぬれた路地
小さくゆがみさざめく姿に
かわいて飛ぅべ
かわいて飛ぅべ


朝はいってしまったのに
けだものはまだそこにいて
とり残された命を呑んで
原のうたごえを聴いている
終わりなき贖いを聴いている


花のなかで

[次のページ]
戻る   Point(7)