ノスタルジア/yamia
世界中の廃虚を見て回りたい
朽ちた屋根の隙間から
あの空を見上げてみたい
・
はじめての旅
鈍行列車にゆられて
車窓に映る奇妙な建物
好奇心を昇華させるため
予定外の駅で降りた
線路はどこまでも続いていると
何の疑いもなかった
・
置き去りにされた空間
誰にも所有されることなく
時を止める
戻れない時間が
何の抵抗もなくそこにはあった
・
トンネルの向こう
先を行く人のシルエット
湿った林の空気
潮の香り
断片となりながらも
たしかにどこかにありつづける
・
世界中の廃虚を見て回りたい
朽ちた屋根の隙間から
あの空を見上げてみたい
それはあの人の独り言
廃虚と記憶は似ている
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