鳥モノ帳/蒸発王
 
が落ちていく
パノラマを
睨んだ





風の表面から
殺ぎ落とされたような
薄い
雲が伸びて

夕暮れ


紫色の地模様に
オレンジ色の翼が広がった


朽ちかけた太陽が

其の眼球


視界の空を支配する
燃える怜悧な風きり羽根



巨大な鳥が
其処にいた


嗚呼   大物だ



彼は
夕暮れの真似をして
大きく
腕を広げ



みるみるうちに
羽根を生やし



元の姿の
大鷲になって


蕩ける太陽に
飛び立った




アタシも
お手伝いと思ったが



黒尽くめの羽根が
太陽を吸いこみ
熱くて飛べない




詮無いので

カァ と鳴き



大捕り物を見守った


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