のーん!あるいはプレーリードッグの瞑目/The Boys On The Rock
朝の日向ぼっこは
野生のアサナ
日光から 大気から
吸引するプラナが
主に会陰部に集中して竈の火がおこる
だが それは決して欲情ではなく
深いサマーディでもあるのだ
たとえ
彼のまぶたの裏に浮かんでいる光景が
カーリー神の戦勝の舞踏であったとしても
その愛くるしい表情に
微塵も 殺伐とした快楽は感じ取れない
鼻の下を伸ばし
両手を垂らした姿を見ていると
私の耳の奥 あるいは根源から
神聖音声が聞こえてくる
それはひらがなのオノマトペであり
Aum ではなく
のーん と童謡の響き
思わず僕も同じポーズで
のーん と同じアサナを試してみたくなるのだが
傍らの女房殿に遠慮して
太陽礼拝のポーズAで我慢した
ただ 気になることは
片手にファッション雑誌を持って
冷ややかに見つめる彼女の表情が
プレーリードッグのヨギーの秘した
青黒い女神の顔だったこと
きっと
彼女の進歩は 僕なんかより
数段高いステージに達しているのだろう
と納得して 今日のアサナを
このマントラで締めることにした
のーん
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