わたしが眠っていると/チアーヌ
 
わたしが眠っていると
ドアを開けて神様が入ってきて
わたしの口の中に何かを突っ込んできました
なんだろうと思ったけれど
眠くて何がなんだかわかりません
そのときわたしは
大昔のローマの
地下20階建ての大浴場で
自分の体を洗うところを探して
ぬるぬると水垢で汚れた薄暗い石畳の上を
裸で歩いていました
大浴場の片隅には
カビと水垢で汚れきったシャンプーボトルや
洗顔フォームのチューブが
打ち捨てられていました
少しでも少しでも
上の階に行きたくて
ぬるぬると汚い石畳の階段を
我慢して
一段一段上がって行きました
それなのに
神様は
わたしの口の中に何かを突っ込んできました
わたしは何度も目を覚まそうと思ったけれど
眠くて眠くてどうしても目を開けられません
そして神様は満足すると
ドアを開けてどこかへ行ってしまいました
戻る   Point(2)