帰宅28時/もる
 
薄暗がりの朝の道
自転車を飛ばして小さな街へ帰る

鳥たちが騒ぐ前に
朝刊も入ってないドアを静かに開ける

満ち足りた現実臭が
僕の頭ん中駆け巡ってさ
言ってたんだ 言ってたんだ
お帰り お帰り って優しい声で

読みかけだった小説に
折り目がついててひどく落ち込んだ

よく働く隣町の
時間を戻して僕に溶け込んだ

溢れ出す疲労感を
残さず包んで丸まって
まだ言ってる まだ言ってる
お帰り お帰り って優しい声で

ふざけ半分の部屋で
僕はよく眠りいくつか捻じ曲げる

ありえない風景たちを
六畳に重ね 君の夢を見ている

蛇口が鼻に見えたり
ちりとりが口に見えたりさ
会いたいな 会いたいな
夢の中の君は少しかわいすぎるくらいだから

また出かけようと思う
けれども不思議だ 体が動かないな

あぁ僕は 安らいでる
ってただ感じてる 一度も干してない布団の中

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