朝、ぬすびとは/ZUZU
 
霧雨のなかを
朝ぬすびとは帰る
愛するひとのもとへ
かれこれ三日もなにも
食べさせてあげることができない
ついできごころで
ぬすんだほしを
返してしまったせいだ
俺のこころも
俺のゆびさきも
もう錆び付いてしまった
そうなっちゃあおしまいだ
もう足を洗うしかないんだ
朝七時に起きて
夜九時に眠る
そういう生き物にならなくては
いけなくなってしまった
それで今夜とうとうなにを
持ち帰ったのか
俺は
一個のバス停だけを
ぬすんできたのだ
いとしい女は
それでも微笑んでくれた
いいバス停だわ
行き先はどこかしら
最終バスは何時なの
時刻表ははげかけて
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