朝の祈りが聞こえる間もなく/
むらさき
運命が赤い目をしてこちらに向かって突進してくる
生まれたばかりの北風はコンクリートの軋む音に
乗っ取られたままで黒ぶちの眼鏡はそのいずれをも
見逃しているのにそんなことはおかまいなく
運命は鋭い矢がささって怒り狂った
黒い雄牛のように猛進する
神を冒涜するかのように
赤い目は鈍い光を放ち
僕らの夢に忍び込んだ
嘘つき野郎を
照らしあげる
朝の祈りが
聞こえる間もなく
怖くなった
僕らは
急いで
硬い体を
走らせた
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