詩を読まない詩人への手紙/岡部淳太郎
 
だわりや怠慢から脱け出して、詩を読むことだよ。そうすれば、君はもっと素晴らしい詩が書けるようになるよ。まあ、僕のへたくそな詩なんか読まなくてもいいんだけど、僕よりもずっと素晴らしい詩を書く人はたくさん、それこそ星の数ほどいるから、それらの星を、少しでも多く味わってほしいと、僕は思うんだ。
 長々と書いてきてしまったね。こんな手紙を受け取って、君は当惑しているかもしれない。それどころか、怒っているかもしれない。自分にこんなことを言って、おまえは何様のつもりだなんて、この手紙を破り捨てたくなっているかもしれない。でも、これだけは憶えておいてほしいんだ。僕は君の詩が好きだし、君が詩を書いているというそのこと自体が大好きなんだ。世の中に、君みたいに詩を書く人間がもっとたくさんいれば良いのにな、と思っている。だからこそ、君にこうして手紙を書いたんだ。
 もうこのへんでやめておくよ。君の砦の中にお邪魔してしまって、申し訳ない。おやすみ(それとも、おはよう、かな?)。君の今夜の夢が、君に新しい歌をうたわせてくれることを願って。



(二〇〇五年十一月)
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