詩を読まない詩人への手紙/岡部淳太郎
 
 おはよう。昨夜はよく眠れたかい? 夢の中で、変なものに追いかけられて、脅えて目を覚まして、朝食を食べながら、その夢がもしかしたら詩に使えるかもなんて、君は思っているかもしれない。
 それとも、こんばんは、かな? だとすると、君はこれから恐ろしい夢を見ることになるのかもしれないね。君がこの手紙を受け取るのは夜なのか、朝なのか、それとも陽が燦々と降り注ぐ昼間なのか、それを僕が知ることはないから、こんな挨拶、本当はどうでもいいことなんだろうけど。
 少し長い手紙になるけど、僕の話を聞いてほしい。何のことかというと、君が書いている詩のことについてなんだ。君は詩を書いていて、僕はそれを知っている。同じ
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