儀式模倣/本木はじめ
ことばを生気づける、死でもって。
こもん
隻眼の雲雀ただよふおおぞらのもとより暗き世界を孕み
やさしさは午後のひかりのように消ゆ花畑にて拾う鋸
月光に照らし出される花籠の虚ろな蛇の抜け殻の夢
幽霊となりし花婿徘徊すゆびわを探すくすりゆびを探す
花嫁は異国の駅の表意文字親族はじめて観る顔ばかり
砂時計の中の砂嵐に過ぎぬ青春そらに届かぬ叫び
潜水夫神話の中より浮上してモダンロックを聴きつつ眠る
恋人はとわに孤独を誤読する口をおおきく開けて観るゆり
縄梯子くびから掛けてたかいたかいたかいバベルの塔と心中
王国旗だけが博物館内に王も王子も惨殺されて
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