蒼の軌道/
あきたようこ
すべてをわかった瞬間
羽根が空を駆け上がるように
わたしもあの空に溶けてしまうかと思った
それほどあの人の存在は深く
そして哀しいほどに遠かった
あの人が美しいと言った道と
わたしが美しいと信じた道は
違う空へと続いていた
しかし空はときに気まぐれで
風は夕闇に紛れて
遙か彼方よりあの人の歌を運んでくる
わたしの手のひらに届く
ため息のようなあの人の証が
明日のわたしの軌道となる
この空も
あの蒼い道へと続いているのだろうか
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