自由律十句〜青い電車〜/
黒田康之
もう雨が降ると息が白い
プラットホームは痛いほど凍てついている
出来損ないの私の影を穿つ雨
午前六時三十分に青い電車に乗る人 他人の朝
水溜りよ青は無残に散乱する
どこへ行くでもない仕事へ行くのだ
ゆるい現実が電車によって動き始める
黒い革の鞄に倦怠を詰めてみる
雨は靴に滲み 這い登ってくる
吊革から誰かの掌のにおいがする六時四十二分
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