落ち葉のプレリュード/恋月 ぴの
 
君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す


この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね


人は儚さと虚しさの境目で
ひとり立ち止まっては
冷酷な自らの運命に天を仰ぎ


優しさはやたらと涙もろくて
時の過ぎ行くままに
頬杖をついている


あの街の何処かに捨ててきたはずの
置いてきたはずの
やるせないしがらみに怯え
うなされる夜の果てに
プラタナスの落葉が降り積もる


ふたりは許されるのか
それは何時誰によりなされるのか
忘れようにも
忘れる事の出来ない悲しみの影に
君も僕も苛まれているのかな


ふたり手と手をつなぎ
プラタナスの街路を歩く
降り積もる落ち葉のあげる
悲鳴にも似た足音に
今は唯ひたすら耳を傾けていたい
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