タレー 4 /狸亭
常夏の夜の底でぼくはアジアを抱いた。
こがね色にきらめくまばゆいタレーの中で
すぎさったはずの貧困がものがたられた。
あくことのない想像力の肉の中で、
一〇〇〇人の男とまじわった女はもうセニョリータ。
耳もとにさされかれるあまい身の上話のさまで、
深刻なわけでもない、いわずとしれた、
かなしい演歌のかたちにもろくも負う深傷。
ゆうぐれのタレーを背中にして
ほんのひとときの笑顔がさそう安堵。
おかねのことは心配いらないなど。
あれはてたこころをおさないころにもどして、
せめてちちははねむる北の故郷のちいさな辺土
その家であなたの未来はハッピーエンド ?
(押韻定型詩の試み 36)
戻る 編 削 Point(1)