珍種の鳥/ZUZU
珍種の鳥を集めた
大学博士の庭の檻のなかに
クチバシがスパナアの形をした
虹色の鳥がいた
わたしは胸のかごの扉のねじが
どこかでゆるんでしまったらしく
風がふくたび
かたりことりと音をたてる
そしてからっぽの胸のなかに
ひゅうひゅうと
風が吹き抜ける
大学博士にたずねた
あの虹色の鳥は
なぜくちばしがスパナアの形をしているのでしょうか?
もしかしたら
あのスパナアは
あのスパナアは
わたしの扉のねじに…
ぴったりあってしまうのではないでしょうか
大学博士は親切な老人で
虹色の鳥を口笛で呼ぶと
わたしのからっぽのかごのなかに
そっとはなしてくれた
夜明けにはきっと
虹色の鳥もさびしくなりすぎて
きっとくちばしのスパナアで
あなたの胸のねじをきつくきつく締めてくれることだろう
そしたらもう二度と
どんなにつめたい風が吹こうと
わたしのこころの扉は
ひらくことはないのかもしれないな
わたしは虹色の鳥を胸にしまい
雨の県道を飛ばして帰った
トンネルは果てることもないような
長い長い渋滞だった
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