冬のひとひら/銀猫
 
幾重もの等圧線の下で
雪虫たちは急いて冬を配り
息を白くするあしたは
ドアの外で待っている

羽根のように
踊り
うたう
白のひとひらは冬の鱗

北のまちでは
夏の半分と
秋は重なって
便りの遅れを挽回するらしい


きみの小さなコーヒーカップで
希望のような湯気は生まれ
無機質なキーをなぞる親指に
温みが灯る

海峡を越えた小さなディスプレイの中で
絵文字は声を持ち
凍えたこめかみに
ときめきを誘う

冬のひとひらは愛の鱗

きみ
から




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