鏡目録/
こしごえ
鏡
鏡に沈む
愁いは波紋となって
私を揺らす
深さの計り知れない底から
ひきあげて
ひきあげて起し
唇に秘密を添えて
黒髪を噛み薄ら笑う
見苦しくはないかと
歪なのは私であって
鏡の静寂は平面している
私のためでもなく
貴方のためでもない
身嗜(みだしな)みの
化粧を洗い流すと
素顔そのままの姿でここにいた
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