天然/有邑空玖
 


甘い水なら
枯れるまで美しく咲けるはず
僕の目や耳や口は
君のために存在して居る
沢山の嘘や誤解や疑惑が世界を蝕んだとしても
躊躇わずにまっすぐ歩いて居て


変わらぬ空が無いことくらい知って居たけれど
あの川が澱んだり涸れたりしたらそれが合図


君が居た 鮮やかな日々
初めて見た光みたいだよ
青が綺麗 赤が綺麗
繰り返す色々


夏になれば鮮明になるこの記憶の海
あの川が澱んだり涸れたりしたらそれが最期


甘い水なら
枯れるまで美しく咲けるから
僕の手や足や頭は
君のために存在して居ると信じて
総天然色の世界に溺れそうになっても まだ
振り返らずに歩いて行く


歩いて行くよ



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