雨の子 ?/木立 悟
海へつづく水と葉の道
混じりものの多い風が吹いている
同じ速さで歩む人々
木々に隠れては現れる
曇と海の間に震える
雨の光が作る階段
朽ちた窓から見える原
住むもののない家をひとつ抱き
そこに在るままに消えゆくもの
そこに在るゆえに消えゆくもの
消えゆくままにそこにあるもの
油の虹は燃え上がる
地の雨が作る行方を照らす
水と葉のなかに散っていく空
窓の光に触れる午後
明るい声の波間にとどろく
聞こえない声に泣いている
枝を選ぶように乳房を選んで
風はかがやきを沈めてゆく
なだらかな午後の境界に
遠い森の色をした
ゆるやかな雨のひとり子に
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