くるうがにくも/黒川排除 (oldsoup)
 
雑多なる手足ここそこ糸を吐く

木組みの台で踊れし彼女の木工ロンド

とびらはずす
 時候の挨拶 叔母が来た

荷姿でグランドピアノを弾くピアニスト

少年の青
連れ込んで
            鳥も塗る

病後すぐ「ここで降ろしてください」と

よる、そらに浮く死んでも夜空

ひとことを発するまでの記憶喪失

忽然とその上がない電柱

まずふるえる木々 そして風が吹き始める

都恋しと女中の肩で鳴くうぐいす

いま在るとは
水銀の反射
川をよごす

祈祷師くるうまで町を燃やすのをやめない

暮れし日曲がり落つ朽ちた森に

抜け道は女神の野営地に続く

壮絶なる間欠泉をみやれば母

故郷はなれてたがいに突起物と化す

ときどきくるう時報どおりにわかれる姉妹

ポケットに遺品忍ばせ銀行へ

すべて霧であった日の白い手を芝生から抜く
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