花を見つめて/千波 一也
 
なんにも無いところから
花が咲くわけなどないのに

私の目はいつも
開いた色しか見ていない
綺麗な色しか見ていない



いつのまに咲いたのか
どうやって咲いたのか
質問したなら
どこまで教えてくれるだろう

何が栄養だったのか
何が必要だったのか
質問したなら
どこまで教えてくれるだろう



痛みはそれほど
痛みではないかも知れない
苦しみはさほど
迫るものではないかも知れない

いつも
私の意識のそとで
花が咲くように



日々の喜びは
蓄積されてゆくのかも知れない
日々の温かさは
蓄積されてゆくのかも知れない

一年の後にふたたび
花が咲くように



命のうえに咲き誇る
花を見つめて

私の頬にはくれないの色



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