灯台に棲む夢を見たんだ /本木はじめ
さっき見た夕暮れさえもほんものか千年あっても知るすべは無く
ETOILE
木漏れ日の揺れる街路でまばたきのようなひかりと影のくちづけ
錆び付いた時計を拾う夜の森なくしたすべてのじかんが騒ぐ
見ることのできないものが見える秋空に残った鳥の足跡
残像を追えば追われる僕もまた空の彼方に消える約束
花束を抱えて走る朝焼けの白く停滞している海辺
苔むした巨大な鐘に寄り添って大和の栄華と衰退に酔う
引き揚げるひかりあふれる青空に沈没しているあの日の午後を
桜貝あの日あなたがくれたからもうどうしてもなくしてしまう
迷い込む三千世界で探し出す枯葉の中のきみの黒髪
ぼくたちはいずれ季節に殺される名前も知らない花が咲く夜
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