けだものと覆われた子/木立 悟
 
うにも
顔を覆うなにかと
同じものに覆われているようにも見えるのでした


木々の間に見え隠れしながら
けだものは冬の野をめぐり
流れに羽をひたしては
金をさらに金に変え
子の足跡を見つけるのでした


いつのまにか空には月が出ていました
誰の言うことも
ききそうにない月でした
水のなかの曇を散らして
けだものとともに歩む子のうしろ姿を
けだものの背に添えられた
小さな腕を照らしているのでした


光の傷の足跡でした
小さくまぶしい姿でした
源はあふれ
羽は流れを埋めつくし
異なる歩みを引き寄せるのでした








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