蛍追い/藤丘 香子
 
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという

静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという

小走りに途切れて
靴音の後ろから呼ぶと
ほんのり丸い標が
瞬きの裏に
しんと
しぃんと浮かんでいる

燃えているのか
束の間に
遠く留まっては立ち昇り
燃えているのか

耳を澄まして
暫くは
零れた頃に見上げ

蓋をした先から
また
点々と翻った
それがほしいのだという



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