ダイジェスト吉増剛造/がらんどう
ぼくは詩を書く
第一行目を書く
太陰文月七日
闇に棲む女の肌を鞭打つたましい
こんにちわ
こんにちわ
炎の船の喜劇的な電源
血だまりへの落雷だ!
秘かにたどる金属の航跡の
海のなかの散水車
太腿よ!
太腿よ!
すべての不可能を状況におしつける
海
と
ここで三十分
会社におくれるぞ!
しかし
彫刻刀が
朝狂って
波のうちよせる岩に
藤の花房ふりかざして
たった一滴の毒薬を全体に注入するために
生贄の台上に青春はのぼるだろう
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