ゴミ箱のカラス/ZUZU
濁った色の疲れたスーツで
駅からの決まった道を帰る
立ち食いうどんの黒い汁に
コロッケをひとつ浸すのも
いつもお決まり
しまったシャッターを背中に
いろんな若者が自由な服をきて
楽しそうに歌っている
すわりこんだ汚い服の女の子達も
とてもきれいな目をしている
きっと通りすがりのぼくを
つまらない風景にしかとらえていないのだろう
だけど
彼らの歌がぼくの胸にひびいたことなど一度もない
どうしてそんなに
同じようなつまらない歌しか歌えないの
きみはきみの歌で
つまらない風景であるぼくを
うちのめして辱しめてくれないのだろう
同じような服をきて
同じような仕事をして
同じような道を帰ってゆく
ぼくときみはたいして変わりはないよ
ゴミ箱に黒いカラスが逃げずにたたずんでいるよ
戻る 編 削 Point(4)