ゴミ箱のカラス/ZUZU
 
濁った色の疲れたスーツで
駅からの決まった道を帰る
立ち食いうどんの黒い汁に
コロッケをひとつ浸すのも
いつもお決まり

しまったシャッターを背中に
いろんな若者が自由な服をきて
楽しそうに歌っている
すわりこんだ汚い服の女の子達も
とてもきれいな目をしている

きっと通りすがりのぼくを
つまらない風景にしかとらえていないのだろう

だけど
彼らの歌がぼくの胸にひびいたことなど一度もない
どうしてそんなに
同じようなつまらない歌しか歌えないの
きみはきみの歌で
つまらない風景であるぼくを
うちのめして辱しめてくれないのだろう

同じような服をきて
同じような仕事をして
同じような道を帰ってゆく
ぼくときみはたいして変わりはないよ
ゴミ箱に黒いカラスが逃げずにたたずんでいるよ






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