夜警/MOJO
が居たことへの嫌悪感。かつて初めて私がこの待合室を訪れたときに覚えたと同質のものを男は感じているに違いなかった。
名を呼ばれ、診察室へ入った。
「いかがですか?」
「はい、あい変らずです」
「眠剤を減らす検討はしていただけましたか?」
「色々考えましたが、やはり従来通りの量を処方していただきたいです」
検討の余地などないが、とりあえずそう言ってみた。
「分りました」
医師はそれ以上は何も言わず、処方箋を書いてくれた。
神経科の入っている雑居ビルの、大通りを挟んで反対側にある薬局で、処方箋と薬類を交換し、そのまま自宅に戻った。途中、自宅近くのコンビニで弁当を買った。遅い昼食
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)