水音の向こう側/佐々宝砂
 
しく書いたら
誰かが喜びそうな気もするが
いまんところ問題が生じそうなので書けない

そもそもそういうことについて書くのは
あんまり私の趣味ではないのだ


じゃあなんでそんな話をするかというと
そういう話とは違う話をしたいのだと
説明したいからである


死から

性から

遠く離れたところで

あるいはそれらを突き抜けた場所で

水音が聞こえる

私は

その水音の向こう側に行きたいのだ


ああこれでは地味すぎる詩になりますねえ
たとえば私は十一歳のとき
近所の神社に連れ込まれてレイプされたが
そういう内容のほうがお好みかな?

だけど私はこんな詩には飽き飽きした
飽き飽きした
心の底から飽き飽きした


水音が聞こえる

とおい
とおい

ところから

水音が聞こえる

だから

さようならを

あなたがたに言いたい

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