その日のリレー/霜天
縦置きのものを横にして
その日を玄関から送り出す
今日も使い切れなかったことを
引きずるようにして家を出る
君にまた「よろしく」と言う
溶けかかった指と指で、今日もその日を受け渡す
手を、繋いでいるのはここではなくて
覚えている風景の、切り取った写真のようなどこかだ
いつもよりも少しだけ、長く眠った後で
霞の中の頭を組み立てる
いつか崩れたビルが見える
いつか、崩れた人が見える、いつか
そして、その日に着地する
沈み込みそうになる足は、もう使えないのかもしれない
君からの「よろしく」が届いたので
広げて足を浸す
昨日よりもさらに長く、眠れるかもしれない
戻る 編 削 Point(2)