ハウス/石川和広
奇妙なことに わたしは責任というものに気づき始める
飼われたままではいけないのだ
そうふさがれた耳がちぎれるように問い詰められたのだ
飼い主ではなく
より大きな森に
ちゃんとお散歩し
ちゃんとお薬を飲まなければならない
闇猫たちの集会にも出られない
わたしは闇猫でもないことに気づき始めたからだ
飼い主にすがって 鳴いてちゃんとすわれなければならない
そうしてちゃんとすわったころには夕暮れが来て
朝をどこへやったかは忘れてしまいかける
そんなときがある
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