秋枯れ/黒田康之
萎えてしまった
すっかり萎えてしまった
鶏の手羽を酒と醤油で炊いたものを
ラスカルの皿に一盛り食べながら
黒霧島を飲みながら
お湯割で飲みながら
テレビを見ていた
テレビではカンニングの竹山が
眼鏡を曇らせて怒鳴っている
どうということのない展開で
新聞の朝読み残したページには些細な地域のニュースなどが散らばる
鶏はどんどん骨になって
新聞はどんどんべたべたになる
山ほど鶏を食い尽くす間に
本当に些細な
まるで生き物のものではないかのような小骨がひとつ
口の端から滑り落ちた
骨はかすかに自分の肉を残し
酒と油と私の唾液でぬるぬると光っていた
骨であるからには何
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