ゆっくりと私たちは/アンテ
 
仮想遊園地へ行った
こっちこっち
手を引かれるまま
仮想の列にならび
きゃあきゃあ歓声をあげて
仮想ソフトクリームを頬ばって
どっかり
仮想ベンチに座り込んだ
お弁当持ってくればよかったね
錆びた仮想柱
仮想コーヒーカップ
まわる
マワル
あなたは大きなあくびをして
仮想空を見あげた
つぎ
なに乗ろうか
じゃあ
あの観覧車がいいな
仮想カゴに乗り込むと
仮想扉がしまった
ゆっくりと
私たちは昇っていった
仮想遊園地
窓に額を押しつけて
仮想人があんなに小さく見えた
となりで
あなたが笑った



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